アンチエイジングを考える前に、まずアンチエイジングの敵である「老化」の正体を知っておく必要があります。アンチエイジング医学では「老化」は、
(1) 体が錆びること(酸化)
(2) 体がしぼむこと(内分泌ホルモンの減少)
(3) 心がすさむこと(抑うつ傾向)
の3点に集約されているようです
まず「体が錆びる」とは、鉄骨が錆びるように人の体も酸化され錆びていくということです。錆びの原因は活性酸素などの酸化物質ですが、人体にはビタミンA、C、EやコエンザイムQ10など活性酸素から身を守るシステムが備わっています。しかし、この防御システムを超えて大気汚染、タバコ、食品添加物、ストレスなど活性酸素を大量に発生させる環境にさらされると、細胞の酸化は一気に進行し致命的なダメージをうけ、単に「老化する」というだけでなく動脈硬化、がん、アルツハイマー病など深刻な病気が引き起こされます。
「体がしぼむ」とは、加齢とともに若さを保つために必要なホルモンの分泌が減少することで、代謝、運動や性的能力の低下、筋肉・骨量、皮膚の柔軟性の減少など、まさに「老化」をひき起こします。また加齢とともに増加するストレスホルモンは、逆に「老化」の促進に拍車をかけます。通常このホルモン環境の変化は30歳頃から始まり、40歳以降に一定レベルを越えると体に様々な変化をもたらしますが、悪い環境や生活習慣に身を置いていると、意外に早い段階から「老化」が体に現れることになります。
「心がすさむ」とは、精神的ストレスや虚脱感が体に様々な症状を引き起こすということです。精神活動はホルモンバランスの乱れなどから加齢とともに抑うつ傾向に向かいますが、その時に感じるストレスを引きずると、活性酸素の発生やホルモン環境の悪化に影響を与え、体の老化はさらに進行していくこととなります。体の健康を維持していくためには、常に前向き、楽しみが多くストレスが少ない生活を送り、心の健康も維持することがとても重要なのです。
誰も老化を止めることはできません、死から逃れることもできません。しかし老化を遅らせることはできます。生き生きと健康長寿を全うするためには3つの要素がバランスよく、ゆっくりと進行していくことが重要です。時々自分の体をチェックして、老化のバランスが崩れていたら修正する、これを繰り返していくことが健康長寿の秘訣ではないでしょうか。
カテゴリ:アンチ・エイジングのこと 2007.03