今回は、サッカーのベッカムやハンカチ王子が使っていたことで話題の「高気圧酸素カプセル」、なぜ体にいいと言われているのか?というお話です。
酸素は、体の各器官が必要とするエネルギーを作り出す際、絶対不可欠なものであり、約60兆個の体細胞すべてが酸素を必要としています。そのエネルギーを作ることによって各器官は適切に機能し、生命は維持されています。細胞、組織への十分な酸素供給は病気や老化の予防、傷ついた組織の修復、疲労物質など老廃物の体外への排出に欠かせないものです。
体内の酸素には赤血球中のヘモグロビンという蛋白質に結合している「結合型酸素」と血液や体液に直接溶け込んでいる「溶解型酸素」があり、通常約97%が結合型酸素ですが、赤血球が到達できない毛細血管の先にある細胞への酸素供給や、脱水・高脂血症・血管が細いなど赤血球が血管内を通過しにくい状況では、溶解型酸素が細胞への酸素供給源として非常に重要な働きをしています。
この溶解型酸素を増加させて体の隅々まで酸素をいきわたらせようと開発されたのが「高気圧酸素カプセル」です。血液に溶解する酸素は気圧に比例するため、高気圧酸素カプセルでは、カプセル内の気圧を1.2気圧前後まで上げ溶解型酸素を増加させています。溶解型酸素が増加することで、赤血球が到達しにくい末梢へも十分な酸素が供給され、組織が活性化されるというのが高気圧酸素カプセルの原理です。体への負担、活性酸素の大量発生を考慮して、カプセル内の気圧は1.3気圧以内、酸素濃度は50%以内に設定されているのが一般的です。
高気圧酸素カプセルの効果ですが、血流が不足している組織を活性化するということで、美肌や痩せにくい部位のダイエット、また「糖尿病が治った」「腎臓病が治った」などと謳われているものもありますが、どれも医学的に実証されているわけではありませんので、派手な宣伝文句につられて過大な期待を持つべきではありません。しかし、傷ついた組織の修復、疲労物質の排出に十分な量の酸素が必要であることは間違いなく、実際にアスリートの使用例で筋肉疲労や故障が早期に回復していることや、一般の方でも肩こり、腰痛、運動後の筋肉痛の改善などの効果見られることからも、高気圧酸素カプセルに一定の効果が期待できることは事実のようです。
カテゴリ:アンチ・エイジングのこと 2007.08