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肝斑(かんぱん)~その1

最近テレビのCMで、「肝斑(かんぱん)」という言葉をよく耳にするようになりました。
「肝斑」は主に30代以上の女性の顔面によく見られる、茶褐色、境界不明瞭、左右対称であることを特徴とするシミを指します。 この肝斑というシミ、治療が非常に困難でこれまでもトラネキサム酸というお薬の内服が唯一の治療法でした。このトラネキサム酸の内服薬が市販されるようになったことで、今話題になっているのです。

肝班の治療が困難であった理由は、発生する原因がはっきりわからないことにあります(いまだにホルモンや紫外線など諸説入り乱れています)。原因がわからないことの解決は難しいですよね?しかし肝斑をよく見てみると、ほほ骨の部分・ほほ・こめかみ・鼻の付け根・おでこなど、洗顔などでよく擦る部分に左右対称に発生し、それ以外の部分にできることはほとんどありません。このことから「よく擦る→(前号でお話しした)バリア機能低下→皮膚表面での慢性炎症→色素沈着」という図式が成り立ちます。このバリア機能低下説は完全なコンセンサスを得られているわけではありませんが、発生部位・レーザーで悪化する・抗炎症作用を有するトラネキサム酸が効果がある・擦るのをやめるだけでかなり改善する、ことから肝斑の原因としてかなり有力だと考えられています。

肝斑は一日にしてできるのではなく、バリア機能の低下したお肌で徐々に徐々に色素沈着が進行し、いつのまにかできているものです。肉眼ではっきりした色素沈着がなくても、皮膚診断装置で診てみるとぼんやり色素斑が見えることも多く、私たちは「かくれ肝斑」と呼んでいます。

実際に診療していると、中高年女性の約半数にかくれ肝斑を含む肝斑を認めます。おそらく美容クリームを一生懸命塗りこんだり、血行をよくしようとマッサージに励んだりという行為がかえってバリア機能を破壊し、肝斑に進行しているケースが多いものと思われます。バリア機能を無視したお肌のお手入れは肝斑と隣り合わせです。擦りすぎないよう、日々の洗顔にも十分な注意が必要です。また「お肌の調子が悪いな」と感じる方は、一度バリア機能や肝斑の有無をチェックしてみてはいかがでしょうか?

次回は、肝斑の治療法についてお話しします。

カテゴリ:お肌のこと  2007.11

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